共同体型事業へ軸足を移す

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資本の意思が貫徹する今日の状況下で、大資本に対して「非対称戦」を仕掛けて勝利を収め、資本主義型ではなく共同体型の経済システムへの移行を示唆する事業が展開し始めている。

(1)アスクルの戦い
オフィスでのあらゆる消耗品を扱って大成功を収めているアスクルは、事務機・文房具のプラスが世に送り出した新しいビジネスモデルだ。
ことの発端は1997年。合理的で資本力のある「オフィスデポオフィスマックス」が米国から日本に進出してくることになり、これを迎え撃つかたちで創出されものだった。
このビジネスモデルの特徴は、非効率と考えられがちの全国の文具店をネットワーク化することで、資本力と戦って勝てるシステムを作った点にある。
詳細はアスクルのサイトに譲るが、結果的にこのネットワークに参加した全国の文房具店が生き残り、米国からの進出してきた2社は大都市での数店舗に終わっている。
潟vラスはオフィス用品・文房具業界では決して先頭を走っては居なかった。しかしアスクルの事業展開で人が8時間前後過ごす空間である「オフィス需要全体」を掘り起こし、より大きなビジネスを手中に収めることとなった。
まさに弱肉強食の「資本主義の原理」から外れた弱者連合が共同体を形成することで、本来勝てる筈の無い相手に勝つと言う、日本型システムの有効性を身近に感じさせる好例である。


(2)日米保険戦争を乗り超える共済事業
共済事業で急成長しているエキスパートアライアンスは、個々の事業の枠を超えて、あらたな経済システムを組み上げるべく正面から取り組んでいる。
共済事業開始後5年を経て、まだその道半ばであるが、参加者10万人、年間売り上げ194億円(2004年11月期)と事業規模としても着実な歩みを見せている。
発端はアリコジャパン副社長、アクサ生命社長を歴任した中川博迪氏が日本での保険事業の限界を打破すべく独自に始めたもの。
氏は辻説法の如く全国1000回講演会を達成し、「世の為、人の為、ちょっとだけ自分の為」との発想と行動を呼びかける。
現在のところ(2005年夏)一般にまだ知られておらず誤解する向きも多々あるようだが、近い将来誰もが注目する事業展開となろう。
以下にその考え方の概要を挙げる。
■相互扶助の理念を強力に押し出した共済会を形成し、そのエージェントとして一定収入を得ている人々で農産物等基幹生活物資流通のボランティア組織を形成。これにより流通コストを極限まで下げる。
■このシステムを稼動させることにより、経済指標的には事業が縮小化したかに見えて、実際には適正規模の生産と消費の持続的サイクルが構築できる。


これらの例は資本主義原理が貫徹する現代社会において、その原理を上回る共同体的理念を明確に持ち掲げているところが、資本主義を超える今日的な意義を持つものである。


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