木桶醤油のカネモリ醤油
(合資会社森山勇助商店 :松江市)
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現代の普通のお醤油は、ステンレス製のタンクの中で人工的に効率良く発酵が進むように温度管理され、数週間から数ヶ月間で造られていますが、カネモリの木桶醤油は、百年以上使われて来た木桶の中で2〜3年かけて醸造されています。
カネモリの醤油蔵には、この杉の木桶が百本近く並んでいて壮観です。
昭和30年代までは全国各地のお醤油蔵で、同じような光景が見られたのですが今やこれだけの数の木桶があるのは、カネモリの蔵だけになってしまいました。
味の特徴を一口で言えば、エキス分が濃いせいかとても濃厚で複雑な味わいです。でもきつい感じはしません。
そして最大の特徴である木桶で仕込んだ醤油独特の香りがします。
現在50歳以上の方であれば記憶にあるかもしれませんが、あの昔の醤油の香りが強烈なのです。
ではこのお醤油がなぜ今日まで残っていたのでしょうか。
その訳は2つあります。
 まず第1は松江の人々が、昔ながらのお醤油の味が少しでも変わることを許さなかったことが挙げられます。先代の社長はかつてのベルリンオリンピックの走り幅跳びの選手であり、後年は文化人としての足跡も残された方なのですが、醤油組合の要職にあり、業界の近代化にも尽くされた方でした。

しかし自分の蔵の近代化はお客様からの強い意向があり、ついに手を付けず終いとなりました。
そこに父君の家業を継ぐ形で現社長が家に戻った訳です。
そこに第2の理由があります。

現在の森山健社長は学生時代を東京とドイツで過ごされました。当時は家業の醤油屋の仕事はただ古臭く魅力のない仕事としか見えなかったとのこと。 
ドイツ留学時代に現在の奥様のエミーさんと知り合い結婚。その後日本の大手光学メーカーの、海外販売・メンテナンス網の整備に南米、中近東、欧州と、まさに世界中を巡られた経験が積まれました。

30歳代も後半になるころ父上が体調を崩されたこともあり、松江に戻って見ると、世界中を経験した目には、かつてあれ程古臭く見えた家業が、「これこそ今後の世界に必要なもの」とまったく違って見えたとのこと。
しかも奥様は「東京には生活の型が見えない。しかし松江には生活についてのキチンとした型がある。であれば自分はその型と向き合って生きていける」との、力強い言葉もあり、以後、この蔵の持続に没頭されることとなった。

こうしたことが重なって、他に類を見ない木桶百本の醤油蔵が今日に残った訳です。
この木桶の醤油は、松江の、ひいては日本の食文化が21世紀にもたらした奇跡なのではないでしょうか。

森山健社長
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蔵元カネモリ醤油 合資会社森山勇助商店
松江市石橋町393 Tel.0852−21−2165

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