栗本慎一郎「パンツを脱いだサル ヒトはどうして生きていくのか」
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栗本慎一郎氏はかつて「パンツをはいたサル」で一世を風靡し、99年まで衆議院議員を2期務め、テレビにも良く出演されていました。
ところが99年に脳梗塞で倒れ一時は半身不随にまでなられたのですが、自分で血栓症のクスリを作り出し、独自の理論に基づいたリハビリとそのクスリの効果目覚しく、傍目には以前と変わらないほどまで回復されました。
 【その辺りのことは栗本氏のwebsiteで詳しく描かれています。】
  →http://www.homopants.com/philosophy/index.html

しかも発症後すぐに、それまで書けなかった(書かなかった)ものを残さねばと、遺書のつもりで1週間で原稿用紙400枚を必死に書いたとのことです。
その本が「パンツを脱いだサル ヒトはどうして生きていくのか」です。
それから「次々と遺書のつもりで書いているのに、まだ生きているというのが実感」とのことです。

2年前にこの「パンツを脱いだ・・・」を読みました。
栗本流経済人類学により描かれた人類の出自とその原罪が、あまりにも暗く重い為、半年ほど落ち込んでいたものです。
しかしその次作である「シリウスの都 飛鳥 日本古代王権の経済人類学的研究」を含めて、それぞれ5回以上は読み直しました。
その底にはハンガリーが生んだ経済人類学の始祖カール・ポランニーと、その孫弟子で正統な後継者栗本慎一郎の思考が流れています。

そこで描かれた驚くべきことの中から幾つかを挙げますと

@かつてユーラシア大陸で広く信じられていた世界宗教がミトラ教であること。
それのひとつの流れがユダヤ教→キリスト教→イスラム教で、もうひとつが仏教であり、ミトラの直接の発展形がゾロアスター教であること。(「ミトラ」が「メシア」および「弥勒(ミロク)」と言う救済者信仰の原型)

A中央アジアにかつてあった強力な帝国カザールの存在が、なぜか未だに隠されていること。そしてこのカザールの末裔が今日の世界にも日本にも深く関わっていること。

Bかつてユーラシア大陸は、南のシルクロードよりむしろ、遊牧民達の「道の駅」で繋がれた「北の道」を使って、集団的な移動が盛んに行われていたこと。
草原が続き、地理的にも社会的にも障害の少ないこの北の道では、バイカル湖畔から日本海のほとりまで1週間の行程だった(我々はメルカトル図法の錯覚にだまされており、飛行機が最短距離を飛ぶ大圏航路はこの経路上を飛んでいる)

これらの著作は、我々が学校で学んだものとはかなり違った世界理解を、導くことになります。
必然的にこうした「異端」の論を述べることは、いわゆる学会での居場所が無くなることを意味し、そのことが倒れる前の栗本氏が書かなかった理由だと容易に理解出来ます。
しかし私には栗本氏が書かれた内容が、これまで出会った世界のいろんなシーンや情報と、齟齬なくピッタリ合うと感じられるのです。

ソ連崩壊後、EU(欧州共同体)は東欧圏を含めて拡大を続け、中央アジア諸国も国際政治の表舞台に登場して来るようになりました。
しかしこれら地域の情報は、日本のマスメディアではほとんど登場しません。
そして栗本氏の著書の世界の主舞台がこれらの国々に符合し、日本とこれらの地域との関係は無論のこと、西欧が今日に至るまでの歴史の根底の認識に、決定的な変更を迫るものがあります。

栗本氏の著書で示される世界では、いろんな集団がユーラシア大陸を移動し、日本・英国と言う両端の島国もまた、大きな交流の中にあったことが想起されます。
ややもすると孤児のように、もしくは中国や米国の属国のように自己規定しがちな日本ですが、決してそんなことは無いということが浮かび上がって来ます。
(070424)


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