解決策はあるのか?
歴史認識すれ違いの基本問題
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0.出来事「2005年4月」

中国各地で反日デモの嵐が吹き荒れた。とても残念であるとともに悲しいと思う。
まず今回の出来事から双方に憎悪の感情を増幅させるような進展は、止めるべきであることを確認したい。
かつて周恩来首相が言ったように、「日本と中国は2000年の交流があり、その長い歴史を考えれば近代の不幸な関係は一瞬のできごとでしかない」
しかしながら戦後60年を経た現在、その「不幸」も事実を直接知る人々が少なくなり、それぞれの立場で異なった「記述された=教えられた現実」としての「不幸」に変質している。
もしこの「不幸」を両者の関係の基本とせねばならないのなら、日中戦争で何があったかを再検証する必要がある。
またこの戦後60年の間でどのような時間の経過があったかを再確認しなければならない。
特に何のために日本国内において、事実歪曲教育がなされて来たかを改めて認識しなければならない。
つまり個々の出来事には、それぞれいろんな原因や思いがあるが、それら全体の大きな方向をコントロールしている力の存在を疑うことが必要だろう。
結果として誰の利益となるのかを考えることである。
そこから考えれば、日中の信頼関係構築を望まない勢力があるかも知れないとの視点から見ることが重要であろう。


1.認識の落差
今回、誰にも鮮明に見えるかたちとなったのが日中での認識の落差である。

(1)中国側の主な発言
@
総理大臣が口で謝罪しても、A級戦犯を祀っている靖国神社に参拝しており、
これは国としてA級戦犯の行ないを是認どころか美化した行為だ。
A
日本は国が検定している歴史教科書で、南京大虐殺を筆頭に中国を侵略した歴史を学校でキチンと伝えていない。
B
日本は近年中国や韓国の領土である特定の島の領有権を主張し始めて来た。
また台湾の独立を支持するがごとき策動を始めている。
C このような過去の歴史を真摯に反省しない日本を国連の常任理事国にすることは中国として反対である。
D
日本の不誠実な態度への中国人民の怒りがデモに現れている。
良好な経済関係を壊しかねない状況まで至ったのは日本の責任である。



(2)日本側の主な発言
@ 中国へはこれまで17回に及ぶ国家としての反省、お詫びの声明を出している。
A ODAでは2兆円以上の資金提供をして来た。上記@も含めてこうした事実が中国国民に知らされていない。
B 中国各地の反日デモは言論の自由の無い共産党独裁の政権下でのことであり、民主主義の世界でのことではない。
著しい貧富の差の拡大等を収めきれない共産党政権への抗議の矛先を、反日に誘導し「ガス抜き」として仕組まれたものだ。
C 日本ではたとえ悪人でも死ねば「神」になる文化であり、靖国神社への参拝云々は完全に内政干渉である。
D 問題視されている歴史教科書は、先の戦争で中国を侵略したことを明記しており、どこにも美化した記述はない。
E 尖閣列島、竹島等については日本固有の領土である。ただし関係国と話し合いたいし、
国際司法裁判所での判断を求めることも提案する。

2/4につづく


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